つくばスタートアップジャーニーの原点 “Tsukuba Startup Night -Venture Café Tokyo Thursday Gathering-”
一般社団法人ベンチャー・カフェ東京 代表理事小村 隆祐(こむら りゅうすけ)
大学卒業後はメーカー系IT企業にて、主にマスコミ業界におけるアカウント営業業務や映像伝送に関わるクラウドサービスの立ち上げプロジェクト等に従事。米国バブソン大学でのMBA留学を経た後、グロービスにて人材育成・ 組織開発コンサルティング部門に参画。大企業の次世代経営者育成やスタートアップの組織開発等を手掛けつつ、起業分野のコンテンツ・教材開発も行う。2018年よりグローバルイノベーションエコシステム創出機構Venture Caféの日本拠点の立ち上げに従事。2024年より現職。ボストンに拠点を置くNPO 「Binnovative」立ち上げメンバー。法政大学ビジネススクール兼任講師。内閣府Startup City Project Network (SCPN) コーディネーター。
つくば市 スタートアップ推進室 室長屋代 知行(やしろ ともゆき)
つくば市出身。大学卒業後、民間研究部門を経て2006年につくば市役所へ入庁。途中、経済産業省への2年間を経て、政策企画、防災、シティプロモーション、現市長直下の政策マネジメントに従事し、スタートアップ支援7年目に突入中。プラチナ構想スクール(1期)、NEDO-SSA Associate(4期)、TXアントレプレナーパートナーズ メンター会員(個人として副業活動)、インパクト・コンソーシアム官民連携分科会(所管:経済産業省)コアメンバー。
株式会社しびっくぱわー 代表取締役堀下 恭平(ほりした きょうへい)
1990年熊本市生まれつくば市在住。東日本大震災を機に筑波大学2年次にコミュニティカフェを創設運営。下妻市や水戸市、横浜市などの商店街活性化に参画した後、行政計画策定支援で最初の起業し以降8社起業経営参画。全国60自治体以上の総合計画や総合戦略などの行政計画を策定。まちづくりとスタートアップ支援を中心に年間1,500件以上のイベント企画運営登壇。2016年あらゆる挑戦を応援する場Tsukuba Place Lab創設、2018年つくば駅前コワーキングup Tsukuba創設、2021年つくばスタートアップパーク運営、2024年常陸多賀駅前 晴耕雨読を事業承継し経営。令和元年度茨城県知事表彰 新しいいばらきづくり表彰 産業振興 受賞。
聞き手:株式会社しびっくぱわー 代表取締役社長 堀下恭平
※本インタビューでは、スタートアップとベンチャーを同義語として扱います
「Learn Connect Share」これはVenture Caféのコミュニティ活動における中核的な哲学であり、イノベーションを創出するための重要な行動指針です。
現在、29の国等の研究機関が集積する「筑波研究学園都市」において、筑波大学や産業技術総合研究所が先導したディープテック・ベンチャー創出の動きは、ほかの研究機関にも大きな影響を与えています。この「ディープテック」をイノベーションにつなげるためには、知財移転などのほかに研究者自らアントレプレナーとして挑戦していく姿勢も求められてきます。
今回はディープテック・スタートアップを支援するつくば市が、毎年Venture Café Tokyo Thursday Gatheringとのコラボレーションで「Tsukuba Startup Night」を実施することの必要性や、イノベーション・エコシステムについてお話します。
01. イノベーション・エコシステムに必要な多様性とは
堀下
屋代
小村
よろしくお願いします!
堀下
この3人で会うのは、日常生活で普通なことのように感じるくらいの長い付き合いですね。すでにRyuと呼んじゃってますが、RyuとはVenture Café Tokyoや毎月第3金曜日のTSUKUBA CONNÉCTでも一緒なので、普段の呼び名で呼びます。屋代さんとRyuも割とつくばやCIC Tokyoをはじめ、普段からSNSでコミュニケーションを多く取っているので、なんだかこうやって対談形式でやるのは、逆にどうしゃべって良いのか困りますが(笑)。とは言え、毎年特に11月と12月はその頻度が爆上がりするんですが、なぜかと言うと、先にお知らせしちゃいますが来月(12月)11日に7回目を迎える「Tsukuba Startup Night -Venture Café Tokyo Thursday Gathering #364-(以下TSN)」が日本最大級のイノベーションセンターであるCIC Tokyoで開催されます!
屋代
小村
よっしゃー!!(笑)
堀下
気持ちも爆上がりしていますが(笑)、さて今回のつくばスタートアップジャーニーでは、このTSNとVenture Caféをテーマにしています。まず屋代さんにお聞きしますが、TSNの詳細は後ほどとして、2018年にTSNの前身であるTsukuba Global NightをVenture Café TokyoとJETROとつくば市と、それから当社しびっくぱわーとで開催してからコロナ禍の2020年を除いて毎年開催しています。テーマは毎年変わっていますが、全体的なところで何か大きく変わったことはありますか?
屋代
はい、今回で7回目のTSNですが、運営スタイルなどはVenture CaféのThursday Gatheringの文化を尊重していますから、これまでどおりです。これまでどおりという言い方をするとVenture Caféが変化がないみたいに聞こえてしまいますが、そういうことは全くなくてVenture Café自体がコミュニティも大きく多様になり、ロケットピッチという新しい形のコミュニティのスタートやVenture Café Fukuokaの立ち上げなど、その成長は私も肌で感じています。その中でもThursday Gatheringの文化というか流儀はしっかりと続いていると感じています。その中でつくば側で大きく変わったというか、今まさに変化の過程にあるのが「なぜつくば市はスタートアップ支援をするのか?」という根っこの部分です。
実は今夏につくば市のスタートアップ支援の柱となる「つくば市スタートアップ戦略(第2期)」の中間見直しを実施しました。12月にパブリックコメントを実施するのですが、この見直し案は有識者や市民を交えて議論しました。市民は一般市民というより、スタートアップと関係がある市民が多く応募してきました。これはこれで驚いたのですが、じつはつくばにはこのような人材がたくさんいるということが分かったのは収穫でした。それで話を戻すと、その中間見直しではこれまでの創業支援から成長支援へとシフトしていくことを狙っていました。しかし、有識者とディスカッションしていく中で、つくば市が行政としてスタートアップ支援をしていくのは創業支援を一層充実させていくことが良いということに収束しました。これは創業支援だけでなく挑戦者を応援するという意味もあります。そして、さらに根幹的な見直しとして「スタートアップの定義」を従来のJカーブモデルを廃止し、成長パターンを明示しなくなりました。ただ、全体的な大きな理念というか、イノベーションの創出、挑戦者を応援というところに向かっていくことを明確にしています。つまり、「スタートアップ・エコシステム」というより「イノベーション・エコシスエム」という方がしっくり来るかもしれません。イノベーションを創出していくために、つくば市のスタートアップ支援をどのように進めていくのか、これが大きな変化です。
これって、正直なところどうなんでしょうか?これまでつくばと長いつながりがあった二人からも意見を聞きたいです。
小村
従来の「スタートアップ・エコシステム」を「イノベーション・エコシステム」に言い換えていくという点はとても共感します。というのは、スタートアップというのは本来多様であるはずなのですが、特に国内においては「スタートアップ」は一定期間赤字を許容し、急成長を目指す企業のみのことを指すという定義が強すぎるなと思います。それが結果的には、特定の成長のみを目指す画一的な支援の元になっていたと思います。その点において、さまざまな成長の可能性があるんだということを認めていくことでより本質的な取り組みができるのではないでしょうか。
堀下
Ryuの意見に賛成です。個人としてもまた当社しびっくぱわーとしても「あらゆる挑戦を応援する」ことを仕事領域として10億円の資金調達から5歳児のはじめてのおつかいまでをその範疇にしてきました。まちづくり/コミュニティ醸成と創業支援との両軸でお仕事をさせていただく中でもっとスタートアップ支援とまちで暮らす手触り感とが近づけばいいなと思うことも現場でたくさんありました。
屋代
おお!なんとも事前調整した回答ぶり!それは冗談ですが、今までなんとなくというか、「スタートアップ支援ってこうだよね?」みたいなものに引っ張られ過ぎた感じがあるかもしれません。でも、私自身7年も続けていると多様な学びもあり、現場とのギャップを感じる中で、責任者としてしっかりと向き合って変えて行こうという思いになりました。それで現在、つくばスタートアップ・エコシステム・コンソーシアムという枠組みを県とともに運営していますが、多くの研究アカデミアと支援機関が参画しています。そして、それぞれがプロフェッショナルです。私は多様性というのはプレーヤーが単に多様なものではなく、大きな目的に向かってそれぞれの専門性を生かして進んでいくことが多様性の本質だと思っています。もちろん専門性じゃなくて、だれにも負けないパッションでもウェルカムです。イノベーションの創出という目的に多様なプロフェッショナルや挑戦者が参画していく、そういうところを狙って市としてのスタートアップ支援を進めていければと考えています。
堀下
エコシステムって生態系なので、いわゆる事業とかプロジェクトでの連携のことではないと思っています。そういったものが、自然発生的に生まれる環境だと思ってますが、スタートアップ・エコシステムからイノベーション・エコシステムへ変化したとして、そこを活性化させる仕組みとかはこれまでと違ってくるのでしょうか?
屋代
マインド的なものかな?と思ってます。この辺りはRyuに聞きたいんですが、スタートアップ・エコシステムとイノベーション・エコシステムの違いは前者はスタートアップにフォーカスしていて、後者はイノベーションにフォーカスしている。スタートアップという個別具体ではなくイノベーションという近くない大きな世界観をともに目指す、その同じ方向を向いている状態でないとそれぞれの多様性を生かしたつながりが生まれてこないんじゃないかと思います。Venture CaféのThursday Gatheringを見ていると、そんな共通の目指すものがなくてもConnectしているように見えるんですが、どう感じていますか?
小村
そうですね。スタートアップ、イノベーションというのは結果だと思うんですよね。なので、社会的な意味での目指す成果というものを明確に設定してそこからバックキャストで考えるということはあまりしていません。もちろん、いわゆる「スタートアップ」を否定しているわけではなく、実際バックキャストで考えている取り組みもなくはないのですが、それよりも世の中を変えたいという思いに出会った時にそれを面白がり、どう支援ができるのかそんなことをいつも考えています。
02. Venture Caféの哲学とTsukuba Startup Nightが提供できる価値
堀下
「イノベーション・エコシステムがスタートアップ支援を強く押し進めるということ」と、「世の中を変えたいという思いに出会った時にそれを面白がり、どう支援ができるのか」という市とVCTの2つが合わさることも、どんな化学反応が生まれるか楽しみなんですが、今回のTSN2025ではそのあたりを意識したプログラムになっているのでしょうか?
屋代
はい、実はスタートアップ戦略の中間見直しと並行してプログラム企画を進めていたのですが、見直しが始まる前から私の構想ではすでに今回のプログラム構成は出来上がっていました。それはそれで当たり前でもあるんですが、TSNは単なるつくば市主催のイベントではありません。Venture Café Tokyoという信頼するパートナーのThursday Gatheringと共創するイベントですから、それを意識したプログラムを毎年練り上げています。特に意識するポイントはVenture Caféの哲学とも言える「LEARN. CONNECT. SHARE.」で、私はVenture Caféが最も重視しているのは「CONNECT.」であると感じていますが、それだけでなく「LEARN.」で多様に学びを深め、「SHARE.」というGive Firstによる信頼の醸成は、ベンチャー(スタートアップ)・エコシステムではなく、まさにイノベーション・エコシステムだと思っています。その3つすべてに関わることができるようにプログラムを組んでいます。いや、組んでいるつもりです(笑)。Ryuに聞いてください(笑)。
小村
間違い無いですね。我々としても共につくばと国内、そして世界のエコシステムを盛り上げていくという点を起点にご一緒させていただけているというのありがたいです。まさにつくば市のまちづくりのヴィジョンである「世界のあしたが見えるまち」を体現されているなと。
屋代
Venture Caféは世界中でこの哲学を長年継続してきていて、そこにスタートアップ支援でつくば市が共創していくようになったのですが、それを2018年から続けている中で、自然と我々がVenture Café側に近づいていった、それに気付けたのかも知れませんね。これって、継続してきたからこそのアウトカムだと思っています。そして、茨城県がVenture Caféと一緒に毎月第3金曜日に実施しているTSUKUBA CONNÉCTの存在も大きくて、つくばの地で「LEARN. CONNECT. SHARE.」が続いていったことも重要です。
堀下
まさにその通りですね。年に1度CIC Tokyoへつくばのスタートアップが出ていく交わる機会としてのTSNと、毎月つくばに集まり起業家や投資家らが繋がる機会になっているTSUKUBA CONNÉCT。両輪でつくばのイノベーション・エコシステムを加速させる仕組みになっていると感じます。
堀下
今回のTSNでは、そのVenture Caféの哲学とも絡めて各プログラムはどのような内容に仕上げているのでしょうか?
屋代
まず、全体のテーマは「AIと都市と人がつくるTSUKUBAのスタートアップ・エコシステム」です。さっきイノベーション・エコシステムと言っておきながらのスタートアップ・エコシステムですが、今まさに変わる過程のど真ん中にいるので、変わる前の「スタートアップ」というワードを使っています。AIは市民権を獲得したかのように2022年のChatGPTの登場で爆発的に普及しました。ただ、世間的には「AIは人の仕事、特にホワイトカラーの仕事を奪う」と感じている人も多いと思います。私自身は、AIは人間と対立するものではなくツールやパートナーのようなものだと思っていますので、「AIに何をしてもらいたいのか」という点を「LEARN.」することが必要だと思っています。そのときに産官学すべてから学ぶ必要があると思いました。その最適解が人工知能学会の栗原会長です。栗原会長はちょうど1年前に「AIにはできない」という著書を出され、AIの限界と可能性を正しく伝える姿勢を示されました。今年にはつくばの任意勉強会である「つくば科学・技術産業イニシアチブ」でも公演され、私も聴講しましたが、一般市民もスタートアップも行政も、誰もが学んでおくべきことだと感じました。また、つくばで活動するスタートアップからは、ロボット、漁業、サービス業へのAI活用という点で大きな学びがあると思います。
「CONNECT.」という点では、参加者同士のConnectは勿論のこと、3つ目のプログラムのテーマにも関わっています。スタートアップ自身がConnectのHubとしてプラットフォーム戦略で標準化や規格競争に挑んでいるところにフォーカスし、日本の産業競争力について学びます。ここで勝てると日本の産業政策としても大きいと思っています。
そして「SHARE.」という点では4つ目のセッションです。自動運転技術をテーマにテクノロジーを社会や都市にどのように共有(シェア)していくかという点にフォーカスしています。官であるつくば市長がモデレートし、学である筑波大学の土木計画学/交通工学の教授を一緒に議論させるのは、そこに重きを置いているためです。技術論ではありません。
こうやってあらためて解説すると、Venture Caféの哲学がいかにイノベーションに大きな役割を果たしているかがよく分かります。
小村
とても、いいですね。我々はグローバルなネットワークを持っているというのが特徴です。今年、ヨーロッパに行ってきた中で「AIの活用」というのは分野を問わずあらゆるスタートアップにとって必要な要素で、「AI」を取り入れていなければ投資対象にもなりづらいという話も聞いています。
堀下
お二人の話を伺っていて改めて思うのは、「AIをどう使うか」という視点の前に、“この都市で何を実現したいのか”というビジョンが問われているんだということです。つくばには研究者も起業家も行政も、市民レイヤーも含めて多様なファーストペンギンが揃っている。その一人ひとりがAIという強力なツールを手にしたことで、まさに“都市そのものがアップデートされる地点”に来ていると感じます。そしてRyuが言ったように、世界ではAI活用は「前提」になりつつある。だからこそ、TSNのように産官学が同じ空間でLEARNし、CONNECTし、SHAREする場の価値はこれまで以上に大きくなるはずです。つくばのディープテックは多様で、都市としてのポテンシャルも大きい。そこにAIが掛け合わさったとき、どんなイノベーションが立ち上がるのか──。今年のTSNは、その“未来の輪郭”が見える場になると思っています。
屋代
つくばのディープテックは多種多様ですし、あらゆる分野での専門家やあらゆる分野に応用できる技術を持つスタートアップがいます。当たり前なことですが、つくばの技術は日本や世界のイノベーションのためにあります。40年前に開催された国際科学技術博覧会「つくば科学万博」は、テクノロジーの価値は地球自身が受けるものというメッセージであると、私は受け止めています。つくばのディープテックがつくばのみならず、日本や世界のイノベーションに貢献できるためには何ができるか、そのひとつがVenture Caféとの共創なんです。
03. つくばスタートアップジャーニーの原点「Tsukuba Startup Night」
堀下
このプログラムの中には、ものすごく壮大なストーリーとメッセージが込められていますね。今回はTSNの告知だけではなく「つくばスタートアップジャーニー」の取材記事でもあります。この文脈でもつくば市とVenture Caféは強固な関係があるんですよね。
小村
そうなんですよ。Venture Café TokyoのThursday Gatheringがスタートしたのが2018年の3月22日ですが、実はその前である2018年2月に私はつくばに来ているんですよ。そこでKyohei(堀下)とも出会った。そのときは、つくば市もスタートアップ推進室ができていなくて、当然戦略もなくて、我々もまだThursday GatheringどころかVenture Café Tokyoもオープンしていないタイミングです。その時点でいろいろと話していくうちに「なにか一緒にやろう」ということになって、2018年7月のTSNの前身であるTsukuba Global Nightが開催されました。
堀下
これはまさにつくばにおけるイノベーション・エコシステム、スタートアップ・エコシステムの胎動だと思います。まだ何も始まっていないのに同じ北極星(ミッション)を目指し、一人ではなくともに肩を組んで山を登っていく、まさにスタートアップそのものではないかと。
屋代
私はその当時はまだスタートアップ推進室じゃなくて、五十嵐市長直轄の政策マネジメント担当というポジションにいたのですが、その動きはしっかりと見ていましたよ。外から見ていて「え!?大丈夫か?」というのが率直な感想でした。でも誰もやったことがないことを、やっていかなければならない。それは不安というか恐怖すら感じると思うし、まさにスタートアップのような状況だったんじゃないかと思います。だからこそ、旅の仲間としてつくば市とVenture Caféが肩を組めてここまで来られたことは、まさにスタートアップジャーニーの原点だと思っています。
小村
まさに原点はあの時でしたね。あの時始まった小さな動きが7年の月日が経ち多くの人を巻き込みながら大きな動きになっていることを思うと感慨深いですね。
堀下
今振り返ると、あの2018年の“準備も整っていない段階でまず動き出した”という小さな一歩こそが、つくばのエコシステムを形作った決定的な瞬間だったんだと思います。当時は戦略も組織も整っていなかったし、正直「これ本当にできるのか?」という不安もありました。それでも同じ方向を見て、一緒に前に進む仲間がいたことで一歩を踏み出せた。その経験が、今のTSNにつながる土台になったと感じています。そして今、7年の時を経て、あのときの“直感的な出会いと行動”が、スタートアップや研究者、市民まで巻き込む大きな潮流になっている。エコシステムって、結局こういう“人と人が目を合わせた瞬間から始まる”んだなと、改めて思います。
堀下
つくばのスタートアップジャーニーは、計画から始まったものではなく、誰かの「やってみよう」に誰かの「一緒にやろう」が重なって生まれた営みだと思っています。TSNはその象徴的な場であり、これからも“初めの一歩”が生まれ続ける原点であり続けるはずです。そして、この旅にはまだまだ続きがあります。次の7年、次の10年で、どんな挑戦者が現れ、どんな未来が描かれるのか──その物語を、つくばで、みんなで、ともに紡いでいきたいと思います。
小村
エコシステム開発は終わりのない進化の連続の旅です。次の5年はどんなものになるのかは分かりませんが、つくばの世界をさらにより良いものにしていけるようこれからも多くの方と共に向かい合っていければと思っています!
屋代
いやほんとにマジで素晴らしい仲間に恵まれたと実感してますよ!ディープテック・スタートアップは成長に時間がかかりますが、Ryuの言うとおりエコシステムができるまでも時間はかかります。それは信頼や信認といったものが時間をかけて出来上がるからです。その苦しくて厳しくてどうなるか分からない状況でも、意見を出し合ってそれぞれが成長もして、それぞれを信頼して、だからこそTSNも継続して開催できていると実感しています。あらためて言うのも変な感じですが、今回こうやって話して色々と目線があったのでとても嬉しかったです。ありがとうございました!そしてこれからもTSNやつくばのエコシステムを盛り上げていきましょう!
完璧な人間などは存在せず、誰もがVulnerability(脆弱さ)を持ち、誰かに支えられているからこそ社会が成り立っているとするならば、“Connecting innovators to make things happen”(イノベーターをつなげて何かを起こす)というミッションを掲げるVenture Caféは“顔と顔が見えるつながりの中で、イノベーションを目指す挑戦者を応援し、未来をつくる”というつくば市のまちづくりの理念をスタートアップ支援によって実現していく上で、欠かすことのできない大切な旅の仲間です。
スタートアップが挑戦し、成長し、世界へ飛び立つ旅の物語
“つくばスタートアップジャーニー”
未来のための、あなたの旅の仲間はここにいます。
屋代さん、Ryu(小村、以下Ryu)さん、よろしくお願いします!