巨人の肩の上で、知を紡ぐ。 ── 筑波研究学園都市から始まる日本型エコシステムの挑戦
筑波大学 国際産学連携本部 特命教授五十嵐 浩也(いがらし ひろや)
大学(理工学部・機械工学科)卒業後、GKインダストリアルデザイン研究所、XEROX Palo Alto研究所を経て、筑波技術短期大学、筑波大学芸術系教授。ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター長・筑波大学執行役員の後、現職。
つくば市 政策イノベーション部スタートアップ推進室 室長屋代 知行(やしろ ともゆき)
つくば市出身。大学卒業後、民間研究部門を経て2006年につくば市役所へ入庁。途中、経済産業省への2年間を経て、政策企画、防災、シティプロモーション、現市長直下の政策マネジメントに従事し、スタートアップ支援7年目に突入中。プラチナ構想スクール(1期)、NEDO-SSA Associate(4期)、TXアントレプレナーパートナーズ メンター会員(個人として副業活動)、インパクト・コンソーシアム官民連携分科会(所管:経済産業省)コアメンバー。
株式会社しびっくぱわー 代表取締役堀下 恭平(ほりした きょうへい)
東日本大震災を機に筑波大1年次に開業しコミュニティカフェを創設運営と商店街活性化に参画した後、行政計画策定支援で起業し、以降8社起業経営。全国60自治体以上の行政計画を策定。まちづくりとスタートアップ支援を軸に年間1,500件以上のイベント企画/運営/登壇。令和元年度茨城県知事表彰受賞。総務省地域力創造アドバイザー。
聞き手:株式会社しびっくぱわー 代表取締役社長 堀下恭平
※本インタビューでは、スタートアップとベンチャーを同義語として扱います
研究成果を社会に届ける道筋や、相談できるつながりが見えにくい──。もしあなたがそう感じているなら、それは決してあなた一人の問題ではありません。高度経済成長期の国策として生まれたこのまちの構造が、高度な研究成果である「ディープテック」として眠り続けるという大きな課題として、今も残り続けています。
研究機関が約150、研究者が約1万4千人。世界トップレベルの「知の集積」を誇る筑波研究学園都市。それでも、なぜ優れた研究成果は眠り続け、産業化に結びつきにくいのでしょうか。
近年、研究成果の社会実装が強く求められる中で「つなぐ仕組み」の必要性が改めて問い直されはじめています。この構造的課題に、今、正面から向き合おうとする方たちがいます。
筑波大学・五十嵐浩也特命教授、つくば市スタートアップ推進室・屋代知行室長、株式会社しびっくぱわー・堀下恭平。3人が語り合ったのは、起業家を意味する「アントレプレナー」の語源に立ち返った「つなぐ価値」の再定義、多様な起業家的行動の必要性、そして官民ハイブリッド型組織という具体的な選択肢でした。
本記事は、つくばのスタートアップ支援の「正解」を示すものではありません。60年続く構造を前に、今何が問い直されているのかを共有し、問いを立てるための視点を手渡すことを目的としています。
答えを探すのではなく、考え続けて問題を見つけること。それこそが、つくばのスタートアップエコシステム構築の本質なのかもしれません。
01. 筑波研究学園都市の縦割り構造|1963年から続く「産業化の壁」
堀下
五十嵐先生
研究レベルは問題ないんだけど、その成果をどこに落とすのかというつながりがない。これがつくばの本質的な課題なんです。
1963年、筑波地区に研究・学園都市を建設することが閣議了解され、その後、筑波研究学園都市の整備が本格的に進みました。東京などに点在していた国の試験研究機関を、この地に計画的に移転・集約する──。その壮大な計画は、明治以来の「富国強兵・殖産興業」という国主導モデルの延長線上にありました。
堀下
候補地はいくつかあったんですよね。
五十嵐先生
そう。山梨県の富士山麓、群馬県の赤城山麓、栃木県の那須高原、それから茨城県の筑波山麓。当時の発想としては、研究機関を1カ所にまとめれば効率が上がるのではないかと期待されたわけです。省庁ごとに研究所が配置され、それぞれの領域で研究を深める。当時としては合理的に思えたこの構造が、結果として大きな課題を生むことになったんです。
堀下
具体的にはどのような課題でしょうか。
五十嵐先生
同じ研究が複数の機関で重複していることもあります。縦割りの中で研究成果を産業に結びつける仕組みがなかったため、結果として「研究だけやればいい」という状況にもなってしまいました。優れた研究は数多く生まれるのですが、それを産業に結びつける「横のつながり」が決定的に欠けている。
研究機関それぞれが省庁の縦割りに従って動き、横断的な連携が生まれにくい。この構造こそが、つくばが抱える「産業化の壁」なのです。こうした縦割り構造や連携不足は、建設当初から今日まで課題として指摘され続けてきました。
屋代
つくば市がスタートアップ支援を始めて7年になりますが、この構造的課題にどう向き合うかが常に問われています。研究機関それぞれが素晴らしい成果を上げているのに、それが横につながらない。
イノベーションという社会への広がりが求められる際には、イノベーションの定義の一つである新たな結合の考えが重要になります。行政としては、引き続きつながるためのハブ機能を強化していく方針です。
02. 日本のURAが十分に機能しきれていない背景|アメリカとの文化的な違い
堀下
なぜアメリカではスタートアップエコシステムが機能しているのでしょうか。
五十嵐先生
アメリカの場合、大学などの研究組織において研究者および事務職員とともに、研究資源の導入促進、研究活動の企画・マネジメント、研究成果の活用促進を行って、研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化を支える業務に従事する人材であるURA(大学リサーチアドミニストレーター)が実質的に資金を持っているんです。
そして、企業のニーズと研究者を結びつけ、企業からの研究資金を直接調達し、研究者とビジネスパートナーをつなぎ、プロジェクトをコーディネートする役割を担います。つまり、URAの影響力が大きい。
日本にもURAは存在しますが、役割の違いがあります。日本のURAは、主に公的資金の申請支援を担うことが多く、企業との橋渡しを中心的役割とするケースはまだ限定的です。このことが、研究成果が社会に届きにくい理由の一つとして指摘されています。
そして、この違いを生んでいる背景の一つとして、研究環境の文化的な違いがあります。一部の研究環境では、産業化への視点を持つ機会が限られていたという指摘もあります。
堀下
それは日本特有の傾向なのでしょうか。
五十嵐先生
私たちの世代では、基礎研究、特に理論研究が高く評価される傾向がありました。基礎研究の重要性は言うまでもありませんが、一方で、応用研究や産業化を担う人材との連携が十分ではなかったという課題も指摘されています。
興味深いのは、アメリカでは1980年代以降、地域や産業ごとにスタートアップ・エコシステムのあり方が多様化し、学歴や既存制度だけでは説明できない動きが出てきました。
東海岸のボストンのような地域では、大学や大企業、公的支援を基盤に設計されたエコシステムが機能していた一方で、西海岸のカリフォルニアでは、よりボトムアップで、ガレージ発の起業が広がる動きが起きていました。
堀下
カリフォルニアでは何が違ったんですか。
五十嵐先生
スティーブ・ジョブズやスティーブ・ウォズニアックの例がわかりやすい。ウォズニアックは自分がほしいと思ったものをつくり、それが実は全世界の人がほしかったものだった。そこから産業が変わった。これはゼロからイチを生み出す力です。既存の学歴社会の枠組みとは全く違う発想で、新しい価値を生み出した。
五十嵐先生は、日本とアメリカの社会構造の違いを、雇用形態の観点から説明します。日本は終身雇用や社会保障が比較的手厚い傾向にあり、アメリカはより個人の実力で契約を勝ち取る文化が強いという対比です。
五十嵐先生
アメリカでは、大企業に所属するのは、ノウハウを獲得するためとされるケースもあります。将来自分で起業するために、そこで学ぶ。最終的には株で生計を立てられるようになることが一人前の証とされている。こうした社会構造の違いが、研究成果の産業化への道筋にも影響を与えているという見方があります。
屋代
その文化の違いは、行政の立場からも強く感じます。つくば市としても、単にアメリカモデルを導入するのではなく、日本の、そしてつくばの文化に合ったカタチでエコシステムを構築していく必要があると考えています。
五十嵐浩也先生、屋代知行室長、堀下恭平による対話。構造的課題をオープンに語り合う姿勢が、つくばの未来を開く
03. アントレプレナーの語源から考える「つなぐ価値」の再評価
堀下
今日のテーマの一つに「つなぐ価値の再評価」があります。五十嵐先生、起業家を指すアントレプレナーの語源は、フランス語の「entre(間)」と「prendre(取る)」に由来するんですよね。
五十嵐先生
そうです。つまり「間を取り持つ」という意味なんです。イノベーションとは、何かと何かをつなぐこと。新しいつなぎ方を考えることこそが、アントレプレナーの本質だと思います。
堀下
ゼロからイチを生み出すことだけが価値じゃない、ということですね。
五十嵐先生
そう、既存の要素を新しく結びつける。それが新しい価値を生むんです。
堀下
その視点、すごく共感します。僕自身、長年コミュニティマネージャーとして活動してきた中で「つなぐ」役割の価値がまだ十分に評価されていないと感じる場面が多くありました。そう感じる場面の一つとして、コミュニティマネージャーなど「つなぐ」職種の地位がまだ低いという現状があるように思います。
五十嵐先生
そう、アメリカでは「つなぐ」ことへの対価が、日本より高いと感じます。手数料や仲介料に対する評価が全く違う。戦後日本では、総合商社が世界との取引を仲介する「つなぐ役割」を果たしてきたとしばしば評価されています。商社こそが真のアントレプレナーだったと言えるんです。そう考えると、日本には本来、「つなぐ価値」を理解する下地となるものがあるはずなんです。
屋代
多様な挑戦者を応援し、多様なつながりを生み出していく。まさに「つなぐ」ことの価値を再評価する方向性が、私たちの活動において重要ですね。
04. 多様な起業家精神を承認する|学歴だけが成功ルートではない
堀下
多様な起業家精神という話が出ましたが、僕の地元・熊本での経験をお話しさせてください。中学を卒業して働き始めた友人がいるんです。20代前半の時点で、もう8年の経験を積んでいた。3店舗経営して、地元で40〜50人の雇用を生み出しているんです。
五十嵐先生
素晴らしい起業家ですね。
堀下
再会した時「めちゃくちゃインパクトあることしているぞ」って改めて気づかされたんです。学歴に関わらず、現場で経済的な学びを積み重ね、地域経済を回す。何をやろうとしているのかが明確で、それを実現している。地元の後輩が憧れる存在となり、ローカルエコシステムを形成する。これもまた、重要な起業家精神のひとつのカタチだと思うんです。
五十嵐先生
一方、つくばはどうか。文部科学省の学校基本調査では、近年、大学・短大への進学率は60%前後となっており、進学がごく一般的な進路として広がっています。
私たちの頃のように、大学進学率が25%前後だった時代と、60%前後の現代では、大学教育の役割が多様化しています。研究者養成だけでなく、多様なキャリアパスを支援する仕組みが求められています。
重要なのは、何をやろうとしているのか、です。大学で学ぶことも価値がある。しかし現場で経済的な学びを得ることも同じく価値がある。現場経験の価値を認める評価軸を導入することや、多様な成功ルートを承認する社会への転換が、今、求められているのではないでしょうか。
堀下
そうなんです。そうした中で、地価の上昇に伴い、若者が実験的に店を始めるコストが以前より高くなっているという声もあります。小規模なスタンド形式の店を出すのも容易ではない状況です。
屋代
つくば市としても、研究者出身の起業家だけでなく、多様な挑戦者を応援していく姿勢が重要だと考えています。
三者の対話を通じて、多様な起業家精神を認め合う文化への期待が共有されました。アカデミア発のディープテックな起業と、地域に根ざしたたたき上げの起業。この両方が混じり合うことで、つくばのエコシステムはより力強く、温かいものになりそうです。
05. 大学寮が果たしていた異分野交流の役割|変化した「場」をどう再構築するか
五十嵐先生
筑波大学の寮生活は、本当に有効だった。最初の2年間、学部学科が異なる学生たちが強制的に同じ寮で暮らす。
堀下
僕も宿舎にいましたが、確かにあの環境は特別でした。横6部屋しかない小さな宿舎で、毎日顔を合わせる。学部学科が違うと、自然にやりたいことや共通項を話そうとすると、かみ砕かなければならなくなる。そして、自分は何をやろうとしているのかがはっきりする。『who am I』が求められるんです。
五十嵐先生
そうなんです。話題は自然に「将来の夢」や「研究内容」など、視座の高いものになる。共通項を探す過程で、互いの視野が広がるんです。
堀下
あのシステムは、イノベーションを生む「場」として機能していた。しかし、震災、そしてコロナで失われてしまいました。
五十嵐先生
知識を得る、授業を受ける、作業をする──これらはオンラインでもいい。しかし、ビジョンを語る、ビジョンをつくる時は生身の身体性が必要なんです。そのときは違う考えの人がいないとビジョンがつくれない。現代における代替手段として、「飲み屋」や「サロン」的な場の重要性があると思っています。
堀下
肩書きを気にせず、フラットに交流できる空間。そこで偶発的に出会い、語り合う。フラットだから横串が入り、横につながるんですよね。僕が見てきた範囲では、そういうカオス的な場が、実感としてつくばにはまだ少ないと感じています。
いいお店はある。でも、そこに行くハードルが高い。誰でも気軽に立ち寄れるような、2〜3坪のコーヒースタンドやおにぎりスタンド。そういう小さな拠点が、駅前だけでなく市内に点在していたら──。
屋代
つくばエクスプレス沿線の研究学園エリアは新しい住民が多く、コミュニティ形成の「場」が不足しているのが課題です。行政としても、そういった場づくりを支援していく必要があると考えています。
堀下
「偶発的な出会いの場」が変化した今、まちに必要なのは、誰でも気軽に立ち寄れる小さな拠点です。しかし、それだけでは不十分かもしれません。個々の「場」をつなぎ、持続可能にする「仕組み」も必要ですよね。
五十嵐先生
その通りです。場づくりと並行して、それを支える「組織づくり」も考えなければならない。つまり、官民が協力して、研究機関を横断的につなぐ新しい組織が必要なんです。
フラットに語り合える「場」が、ビジョンを生む。つくばには、そんな場がもっと必要だ
06. つくば型エコシステムの選択肢|「場」と「仕組み」の同時構築
「考える場」の具体例──継続的な対話の提案
堀下
鼎談の終盤になりましたが、ひとつ提案があります。月1回の定例飲み会を始めませんか。50回やったら解散する。店舗を毎回変えて、つくばのいろんな場所を知る。たとえば「五十嵐会」と名付けて(笑)。
五十嵐先生
おもしろいですね(笑)答えを出すことが目的ではない。多様な人々が継続的に「考える場」を持ち続けること。そして問題を見つけ出していくこと、それこそが、エコシステム構築の本質だと思うんです。
三者の対話を通じて、「考え続ける場」を増やすことの重要性が浮かび上がりました。技術や制度の前に、今のつくばに必要なのは、肩書きを気にせずフラットに交流できる場を継続的に持つことなのかもしれません。
持続可能な「仕組み」をつくる──官民ハイブリッド組織
屋代
共感します。実は、つくば市の予算は、人口増加で税収(個人市民税、固定資産税)は右肩上がりですが、このまま上り続けるとは限りません。20〜30年後を見据えた持続可能な仕組みが必要だと感じています。
スタートアップ支援やイノベーション創出は税金に依存せず、ふるさと納税や民間寄付など、基金という枠組みで外部資金を取り込むのか。行政が主導する「財団(公的機関)」と、民間ベースの「株式会社(ビジネス機能)」を組み合わせた「ハイブリッド構造」なのか。
五十嵐先生
たとえばですが、各研究機関の上に横断的な「統括会社(アンブレラ会社)」を設置し、まずは研究成果を企業に橋渡しする「技術移転機関(TLO)」の統合から始める──。つまり、省庁縦割りの壁を超えて、研究成果をひとつの場所に集約し、産業界とつなぐ「ハブ」をつくるイメージもひとつの選択肢かもしれません。
このアンブレラ会社によって窓口が一つになれば、研究者は「どこに相談すればいいか」で迷う必要がなくなります。技術を世に出すためのむずかしい手続きを、専門家に安心して任せられる。
既存の研究機関から独立した新しい組織・会社の設立。市や民間が主導し、各研究機関を横断的につなぐ仕組み。どれをとるにしても、研究所の外に出すことで縦割り構造から脱却できる。そういう仕組みを考えなければならない。
堀下
行政がやるのか、民間がやるのか、それともハイブリッドか。そこは議論が必要ですね。
屋代
そうなんです。行政がやれば信頼性とハブ機能を提供できます。ふるさと納税など外部資金の活用で、持続可能性も確保できる。外部資金で運営し、税金依存を避ける。「仕組み」として確立できれば、政治リスクは低減できるという可能性も感じています。
五十嵐先生
ここから5〜10年、市がやることって大きいのではないかと思っています。ただし、市長交代や人事異動などによる方針転換リスクもある。民間主導なら、サステナビリティが高いし、組織として継続しやすく、意思決定が速い。
一方で、省庁との関係で「下請け体質」になるリスクがある。だからハイブリッド案なんです。行政が主体となる財団と、民間ベースの株式会社の二層構造。そして、そういう仕組みを考える「場」として、継続的な対話が重要かもしれません。
07. 社会実装の鍵|技術以上に必要な「社会学的視点」
五十嵐先生
「間を取り持つ」のは、ビジネスパーソンだけではありません。自動運転を例に考えてみてください。もはや、技術の問題じゃない。社会学的な問題なんです。法律、規制、市民感情、社会受容性。技術がどれほど優れていても、これらが解決されなければ社会実装には至りません。理系の研究者だけでは完結しない。
社会学など専門家が、スタートアップに関与する必要がある。つまり、社会学的視点を持つ人こそが、技術と社会をつなぐ重要な「アントレプレナー」になり得るんです。
さらに、筑波大学は総合大学です。大学の総合力をいかした分野横断的なアプローチができる可能性がある。その強みが、つくばにはある。
堀下
社会学系の人材がスタートアップに関与するという視点、すごく重要ですね。技術だけでは社会実装できない。まさに「つなぐ」人材が必要なんだと思います。
08. 考え続ける場をこのまちに増やし、持ち続けていくこと
堀下
今日の鼎談を通じて、つくばが抱える課題と可能性が見えてきました。最後に、それぞれから一言ずつお願いします。
五十嵐先生
つくばスタートアップエコシステムが直面する課題は、個人の問題ではなくシステムの問題です。1963年から続く縦割り構造、産業化への仕組みの不足、多様なキャリアパスの必要性。
しかし、これらの課題をオープンに語り、継続的に「考え、つながる場」を持ち続けることで、エコシステムは進化できる。答えを探すのではなく、考え続け、つながる場を持つこと。それぞれの立場で何ができるかを考え、フル活用する。それこそが、エコシステム構築の本質だと思います。
屋代
行政の立場からも、行政だけで問いを立てるのではなく、多様なプレーヤーと一緒に考え続けていく姿勢が重要だと感じています。五十嵐先生、堀下さんのような信頼できる仲間を増やし、これからもつくばの未来を一緒につくっていきたいです。
堀下
アントレプレナーの語源が示すように、イノベーションとは0→1だけではありません。既存要素を新しく結合させること。つなぐ価値を再評価し、多様な起業家精神を承認し、官民ハイブリッド型組織で横断的につなぐ。
そして何より、肩書きを気にせずフラットに交流できる「場」をまちに増やしていくこと。小さな一歩から始め、多様な人々が継続的に考え続ける場を持つことが、つくばのエコシステム構築の重要な要素だと感じました。
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まとめ|あなたも「間を取り持つ者」になれる
この鼎談を通じて学んだのは、「考え続ける」ことと、「つなぐ」ことの価値を再評価する重要性です。
60年続く縦割り構造も、産業化への仕組みの不足も、個人の問題ではなくシステムの課題でした。だからこそ、オープンに語り合い、考え続ける場を持つことが、変化への第一歩になる。アントレプレナーの語源が示すように、間を取り持つことこそが、新しい価値を生むのです。
答えを急ぐ必要はありません。月に1回、肩書きを忘れて語り合う。そんな小さな場から、つくばの未来は必ず動き出します。
まずは自分の専門外の人を一人、お茶に誘ってみる。あるいは、隣の研究室の悩みを一つ聞いてみる。そんな「間を取り持つ」小さな一歩が、実はつくばを、そして日本を変えるアントレプレナーへの第一歩なのかもしれません。
スタートアップが挑戦し、成長し、世界へ飛び立つ旅の物語。
“つくばスタートアップジャーニー”
未来のための、あなたの旅の仲間はここにいます。
出典
研究機関数・研究者数
・つくば市公式サイト「筑波研究学園都市とは」https://www.city.tsukuba.lg.jp/soshikikarasagasu/toshikeikakubutoshikeikakuka/gyomuannai/4/3/1002135.html
・茨城県公式サイト「筑波研究学園都市」https://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/chiiki/kennan/documents/tsukubasciencecity.html
筑波研究学園都市の歴史
・つくば市公式サイト「筑波研究学園都市の建設」https://www.city.tsukuba.lg.jp/soshikikarasagasu/toshikeikakubutoshikeikakuka/gyomuannai/4/3/1002136.html
・国土交通省「筑波研究学園都市の歴史にみる都市づくりのあり方」https://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/onlinelecture/lec128.html
人口増加率
・総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」令和7年1月1日現在 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei02_02000389.html
・つくば市「つくば市の人口増加率1.47%」https://www.city.tsukuba.lg.jp/material/files/group/177/20250807_No65.pdf
大学進学率
・文部科学省令和6年度「学校基本調査」https://www.mext.go.jp/content/20241213-mxt_chousa01-000037551_01.pdf
アントレプレナーの語源
・東京大学協創プラットフォーム開発株式会社「アントレプレナーとは」https://www.utokyo-ipc.co.jp/ja/column/entrepreneur/
五十嵐先生、屋代さん、よろしくお願いします。今日はつくばのスタートアップエコシステムについて、過去・今・これからという視点でお話を伺いたいと思っています。まず五十嵐先生、つくばが抱える構造的な課題について教えていただけますか。